しくみ製作所 豊川氏|7年前からフルリモート組織でエンジニアが働くとどうなる?
―しくみ製作所 採用責任者 豊川氏―
プロフィール
採用責任者 豊川 雄太氏
2013年4月、Yahooグループのバリューコマース㈱へ入社。アフィリエイト広告の営業、自社サービスのマーケティング、新規ADNW事業の立ち上げ、経営企画を経験。
2015年4月、転職エージェントのJAC Recruitment㈱へ入社。Web広告業界を中心に企業の採用支援、求職者の転職支援を一気通貫で経験。
今回、営業職からエンジニア職へキャリアチェンジをし、2017年10月よりしくみ製作所へ入社。
事業概要
―簡単に事業概要を教えてください。
弊社は主に、「受託開発」「自社サービス」の二つの事業を行っています。自社サービス事業は①BONDO(ボンド)②reBako(リバコ)の二つです。
創業から提供している“BONDO”は、ゲームのコミュニティーを構築するサービスです。具体的には、タイトル専用のコミュニティーを作ることで、ユーザー同士のコミュニケーションを図る仕掛け・イベントの開催をしています。ゲーム会社様からは、マーケティングツールとして課金を増やす目的でご利用いただいています。
2020年9月にリリースした“reBako”は、オンラインのイベント開催ツールです。現在、コロナの影響により、通常オフラインで開催していたイベントの約8割がオンラインになっています。オンラインイベントはZoomの使用率が高いですが、展示会・合同説明会などをZoomで開催することは難しいというのが現状です。なぜなら展示会など”個別・各ブースでコミュニケーションを取る必要があるイベント”は、一つの部屋で行われるZoomだと再現しづらいからです。そこでオンラインのバーチャル空間上に任意の広さの会場を自由に設置できるサービスを9月にリリースしました。
【しくみ製作所 HP】https://sikmi.com/
オンラインイベントツール”reBako”について
ー“reBako”はリリースして間もないですが、サービスとして既にご提供された事例はありますか?
はい。既に何件かのイベントを実施しています。具体的には「UIターン向けの合同説明会」「企業と就活生をつなぐ座談会」などを行いました。基本的に、既存のツールではオフラインの再現が難しいお客様から、ご利用いただいています。
―既存のオンライン用ツールとの差別化となる特徴はありますか?
イベントに特化している点です。
“reBako”は会場となる箱を用意し、利用者が椅子・テーブル・ステージなどを自由に設置し、会場の構成を目的に沿って対応させることができます。オフラインで開催されていたイベントを、そのままオンラインで再現できるので高度なリテラシーも必要なく、直感的に操作できる世界観になっています。画像の通りマップ形式であるため、参加者側の「次はここの話を聞きにいこう」という通常の展示会の流れまでも再現できます。このような直感的なUIでイベントに特化している点が既存のオンライン用ツールと差別できる点だと考えています。
創業期からフルリモートである理由
―リモートワークを取り入れたきっかけはありますか?
「創業時、代表取締役社長(車)の奥様が北海道出身・創業メンバーも都内・関西と分かれていたこと」「普通の会社と違うことをしてみたい」という想いから、試しにリモートを取り入れたのがきっかけです。ただ、車が前職で部分リモートを経験していたことも、フルリモートになった背景として大きいです。
前職の会社は東京にあり、車は福岡でリモートワークをしていました。その際、部分リモートでは“オフィスとサテライト間の情報格差が広がる”ことに課題を感じたそうです。オフィスでは雑談やミーティング以外での会話から話が進むことも多い一方で、サテライトは仕入れる情報源がありません。その経験から、リモートを導入する際は「部分リモートではなく、全員フルリモート」と考えていたそうです。前職の経験がなければ創業時からフルリモートではなかったかもしれません。
フルリモートでの工夫ーエンジニアからの声ー
―フルリモート下で、意識して取り組まれていることはありますか?
フルリモートを取り入れた当初“Google Meet”で一つの部屋を作り、繋いだ状態で作業をするようにしていました。人数が増える中で、コミュニケーションが取りづらくなり、部屋を分けました。そこで次は「誰がどこで何をしているのかが分からない」という課題が生まれまれたため、“Discord”に移行しました。人数に応じて使用するツールは適宜、変更しながらも「数人でコミュニケーションをとる」状況を作っていたので、コミュニケーションが少ないことはありませんでした。
ただ最近は人数増加により、テキストチャット“Slack”に移行したので繋ぎっぱなしの体制ではないです。気軽に声をかける文化は醸成されていたので適宜、音声に切り替えることに抵抗はありません。だからこそ、テキストと音声のハイブリットで運用しています。弊社の文化では、音声チャットは電話ではなく“隣の人に声をかける感覚”です。
―エンジニアからの感想などがあれば教えてください。
「リモートっぽくない」という声をもらいます。リモートなのですが、オフィスで働いている感覚と変わらないと言われます。コミュニケーションを頻繁にとるため、「自分の部屋にこもり、PCと向き合って仕事をする」というリモートのイメージとは違います。隣にいる時と同じ感覚で、少し困ったら声をかける感覚で働くことが出来ます。そういう意味で、リモートっぽくないと言われますね。
リモートワークの課題
―リモートワークを運営していて感じる課題観はありますか?
今は解消されていますが、過程ではコミュニケーションの課題がありました。音声ツール“Discord”からテキストチャットに移行した際に、感情のすれ違いが発生し、最悪のケースでは退職に繋がったこともありました。その反省から、極力コミュニケーションは音声でとるように皆が意識するようになりました。
実は“reBako”をリリースしたのは、リモートワークでの課題がきっかけです。既存のツールでは、大人数が参加する会議・イベントは話題を一つしか作れない課題があります。例えば通常の飲み会では数人ごとに話題ができますが、オンライン飲み会では一つの話題に対して発言する人・しない人に分かれてしまいます。その解決策として生まれたのが“reBako”でした。弊社は創業時から、他社のツールを利用することでリモートワークは成功していたのですが、唯一難しかったのが飲み会・大きいイベントでした。だからこそ弊社も使う前提で、“reBako”を作りました。
リモートでのマネジメントについて
ーリモートワーク下のマネジメントで意識していることを教えてください。
コミュニケーションを多くとることです。弊社はアジャイル開発の中でも、スクラム開発(コミュニケーションをとって、課題を改善する)のフレームワークで進めています。さらに「毎日メンバーと進捗のミーティングをするデイリースクラム」「一週間に一回振り返りをするイベント」をプロジェクトごとに行っています。誰かがマネジメントするのではなく、メンバー全員で責任を持って進捗を確認し合うイメージです。上が下を監視・マネジメントするという意識はありません。目指しているのもホラクラシー型の組織です。
メンバー全員が、ロール(役割)・意思決定権を持っています。私の場合はエンジニア・採用・広報・営業のロールを持っていて、それに従って業務に取り組みます。組織図はありますが、必ず一人が一つの部署に入り、役割を全うしなければならない働き方ではないです。
採用についてーマッチする人材とはー
―採用も担当されているとのことで、文化に合うエンジニアはどのような人材ですか?
自走できる人であり、弊社の基準”3A”に当てはまる人材です。”3A”は「アクティブ」「アジャイル」「圧倒的当事者意識」です。アクティブは主体的・能動的に自分から動けるかどうかです。基本的に、受け身で仕事がくるのを待っている姿勢では厳しいです。アジャイルは、スピード感を持って効率をよくするために、改善していけるかどうかです。圧倒的当事者意識は、責任感を持って仕事を全うする意識を持てるかどうかです。
トータルすると自走できるかどうかですね。状況によってやることがなくなった時に、新しい言語を学習・キャッチアップして、次に活躍できるように準備をする。新しいロールを取りに行くことも可能です。会社の課題観に合わせて、自身の可能領域を広げられることも大事だと思います。
フルリモートでの採用活動について
―フルリモートの場合、人材を集める際に課題はありましたか?
今までは、求めているエンジニアの採用に困りませんでした。理由としては、二つあると考えています。一つ目は、リモートを導入している会社が少ないので、目立ちやすいからです。もう一つは、地方の優秀なエンジニアを採用できるからです。地方の人材からすれば、給料も都心ベースになるので、入らない理由がないほど好条件になります。
一方で、最近は反応がよくないと感じています。しかし9月頃から採用活動を再開したのですが、未経験の人材からの応募が減り、苦戦しています。コロナ禍でリモートワーク・リモート採用が急増したため、競合が増えた可能性があると考えています。
今後の事業方針について
―今後の事業方針・採用の方針
事業をますます増やしていきたいです。受託事業をサービス化して、新しいサービスにしていきたいです。それに伴い、組織ではロールを重視してきましたが、事業部を立ててコミュニケーションラインを構築していきたいです。
採用も、事業方針である“新規事業を増やすこと”に伴い、正社員・準社員(契約社員よりは正社員に近い社員)で15人はとる予定です。今までは、年度内に一回採れればいいと思っていたのですが、今後は業務委託を含めると20人程度採用する必要があると思っています。今まではメンバーを増やすことにフォーカスしていませんでしたが、メンバーを増やして事業・会社を拡大していく予定です。
【しくみ製作所 HP】https://sikmi.com/
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